曽木公園
岐阜県土岐市曽木町
曽木公園
2010年秋取材
極彩色に彩る秋の公園
愛知県豊田市と岐阜県土岐市の県境の山中を通る国道363号。その脇に小さな公園がある。ともすれば知らずに通り過ぎてしまう程の小さな公園だ。そこが、秋の数日間、賑わいを見せる。「飛騨・美濃紅葉33選」「日本紅葉の名所100選」にも選ばれている曽木公園だ。
入り口で入園料の200円を払うと記念の絵はがきが手渡される。公園内に入ると、見事な楓の大樹が立ち並ぶ光景が目に飛び込んでくる。空の青、常緑樹の緑、色づいたイチョウや楓の黄、橙、赤が秋の斜陽に照らされ、極彩色の彩りを見せる。園内の一角に水神が祀られており、そこから小さな沢が流れ、いくつもの池を作り出している。
そして陽が沈み、辺りが暗闇に包まれた頃、この公園の真の姿が浮かび上がる。
17時30分。合図とともに一斉に紅葉がライトアップされる。その瞬間、辺りから歓声が湧き上がる。公園内にいくつも点在している池にその姿が映り込む。いわゆる「逆さ紅葉」である。ここでは、ライトアップされた紅葉そのものよりも、池に映り込んだ逆さ紅葉が主役である。夜の闇を捉えた池は、波の立たない水面と相まってまるで鏡のようであり、覗き込むとどこまでも引き込まれ落ちていくような不思議な感覚を覚える。そこから本当に異世界へ行けるのではないだろうかと本気で思えてくる。究極の黒と言っても過言でない水のスクリーンに映し出された紅葉の色は艶とコントラストが増し、実物よりも数倍艶やかに見える。この感覚は、写真では表現しきれない。それは例えば3D映像の様子をTVでレポートされても分からないのと同様、実際にその目で見ないと味わえない感覚である。
ライトアップ期間中は周辺に約600台分の臨時駐車場が整備されるが、夕方にはそれもいっぱいになり周辺道路は大変混雑するので明るいうちに行く事をお勧めする。明るいうちに陽の光に照らされる紅葉を観賞し、一度出て公園前にあるガーデンパーク SOGIでくつろいだり屋台のある広場で一休みをし、暗くなってから再度入園するのが良いだろう。
公園の東側にもライトアップされた細道がある。賑やかな公園内と異なり、観客もあまり訪れない。静けさの中、光の中に浮ぶ大樹の姿が幻想的なので、こちらも一見の価値有り。