了 庵
岐阜県可児郡御嵩町
飛騨木曽川国定公園 鬼岩公園内 了庵
2011年初夏取材
森の中の喫茶店
鬼岩公園の入り口に呂久沢と呼ばれる沢がある。
その沢沿いの緑に囲まれた小径を奥へと入って行く。
途中、小さなベンチがある。何となく座って目の前に流れる沢の音に耳を傾けていると、つい物思いにふけってしまう。
さらに進んで行くと、木々の間からオレンジ色の灯りが見えてくる。そこが「了庵 Ryo-an」だ。2階建ての山小屋風の建物で、緑に埋もれるように建っている。
入り口には季節に合わせた暖簾が揺れる。細やかな心遣いが嬉しくなる。その暖簾をくぐり、緑のトンネルを通って奥へと進んで行く。
席は店内の他に、屋外のウッドデッキにもある。お勧めはやはりその屋外の席。目の前に流れる沢の水音が適度にそれぞれの席の話し声を中和し、音は聞こえるのに静けさも感じる独特な空間を作り出している。そしてこのウッドデッキ席は人気の為か、店内より先に埋まっている事が多い。気温の下がる時期には膝掛けとストーブが用意されるので、初秋に紅葉を眺めながらのんびりするのもおすすめ。
2階にも席があり、大きな窓いっぱいに広がる緑を楽しむことができる。2階席の反対側はギャラリーになっており、時期によって様々な展示が行われている。今まで知らなかった地元の作家の作品に出会うことができるので、了庵へ来たら是非2階にも足を運んで欲しい。
メニューはドリンク、ケーキが中心で、種類は決して多くはないものの、味は一級品。まず、なんと言っても水が美味しい。グラスも凝っており、グラスを通してテーブルに落ちる光が綺麗だ。氷が丸い形になっているのもかわいい。おすすめはドリンクと一緒に注文できる日替わりのケーキセット。季節によって異なる数種類の中から好きなものを選ぶことができる。
小物も凝っており、スプーンやフォークなどは小枝の形をしていて、いかにも「森の中の喫茶店」らしい。カップはマイセンが出てくることも。特筆すべきは、アイスコーヒーに使用されている氷である。なんと、コーヒーが薄くならないように、氷がコーヒーでできているのである。
予約限定だが、ランチも行っているので是非そちらも利用したい。
了庵はロケーション、演出、心配り、味、全てが高いレベルで整っていて、何度も通いたいお店である。